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2023年7月 2日 (日)

2023年7月のことば

7月、2023年も折り返し。デスクには2ヵ月で1枚の作りのカレンダーが掲げてあるのですが、次にこのカレンダーをめくると(7・8月の紙を破ると)、2023年も残り4か月ということになります(当たり前のこと言ってるけど)。9月は秋彼岸、10月から報恩講が始まって11月はしっかり報恩講シーズン、12月は師走でやることいっぱい。9月に入ると坂道を駆け降りるかのように日が過ぎてゆきます。そんなことを考える時期になったんだなぁと、5・6月のカレンダーを破いた瞬間に思いました。まだ半年残っているのですが。
暑くなりましたね。体調整えていきましょう!(ここ3日間、1日3時間睡眠なんだけど。絶対やめた方がいい。)

 🦒 🐒 🦁

2023年7月のことば
(寺報版はこちら)(YouTube法話はこちら

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新しいものも
古いものも、
一緒なんだよ。
ずーっと一本で
つながっているから
     柚木沙弥郎

大きな循環のなかにある
今日から明日、明日から明後日と、一日一日の時の経過のなかで変化を感じることは少ない。けれど、今日から昨日、昨日から一昨日を振り返ったとき、変化や移ろいを感じることがある。
一刻一刻、一日一日の変化の大きさは目立たないけれど、ひと月ひと月、一年一年の時の経過は、変化や移ろいに歓喜や落胆をもたらす。
進化ともいい退化ともいう。発展ともいい衰退ともいう。成長ともいい老化ともいう。栄枯盛衰の景色は淋しさ 切なさ 悲しさを醸し出す。けれど、古いものがあるからこそ新しいものが生まれ、新しいものによって古いものの意味が明らかになることがある。
新しいものは、やがて古くなるときを迎える。古いものは、ときに輝きを発するときが来る。新しいものも古いものも、ひとつのつながりのなかにあり、大きな循環のなかにある。ずーっと一本でつながっている。

喉元過ぎれば
2023年に入り、新型コロナウイルスに対する規制が排除撤廃軽減され始めました。3月13日からマスクの着用が個人の判断に委ねられるようになりました(元々委ねられているのですけれど)。そして5月8日から新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが「2類相当」から「5類」へと変わり、季節性インフルエンザと同じ分類になりました
街並みや飲食店の賑わい、海外からの旅行者による需要もコロナ以前の状況に戻りつつあるといいます。
また、学校や職場や会食の場を同じくした人がコロナに罹患発症した際も、「かかりました」とサラッと伝えられる雰囲気になりました(私の周囲だけでしょうか)。
気兼ねなく人の集まれる機会が増えてきてよかったなぁと実感します(活動自粛期間中の静寂も好きだったのですが)。反面、喉元過ぎれば熱さを忘れるにならなければいいけれどとも思います。

温故知新
思い返すに、活動自粛の始まったころ、2020年6月、西蓮寺掲示板に次のことばを掲示しました。

温故知新

 今を忘れないから、(ふる)きを温(たず)ねられる。

「コロナに罹患発症してもサラッと伝えられる雰囲気になりました」と書きましたが、未知のウイルスが感染拡大し始めた頃のことを覚えていますか? 罹患した人は、まるで人間ではないかのような扱いを受けました。住む家を追われた人、死に追い詰められた人もいました。人間、未知の状況に身を置くと、かくも残酷になれるものなのだと学びました。
いかなる病気であれ罹患すること自体つらくてしんどくて淋しいことです。それだけでも大変なのに、病気に対する無知や誤解、「自分は罹患したくない」という思いが差別や暴力を生み、罹患して苦しんでいる人をさらに追い詰めました。未知は恐怖を生み、無知は差別や暴力を生みます。

「温故知新」とは、「古いことを調べたり考えたりして、新しい知見を得ること」を意味しますが、「今」自分の立っているところ、自分のしていることなど、現実を直視することなく故きを温ねることなどできるでしょうか。「以前の状況に戻ってよかったね」で終わってしまうならば、「今」から得られる新しいものは生まれないかもしれません。
「今」という時を忘れる無視するということは、ずーっと一本でつながっている古いものと新しいものとを分断することになります。古いものと新しいものとの接点は、常に「今」「今」「今」なのに。

もっと日常に目を向けて
今月の「掲示板のことば」は、染色家の柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)さんのことばです。
1922年(大正11年)東京田端生まれ。100歳。
柳宗悦氏の「民藝」の思想と芹沢銈介氏の型染カレンダーに出会い感銘を受け、染色の道に進まれました。型染による染布、染絵など多くの作品を制作し、染色のほか絵本や版画、立体作品にも取り組まれています。

柚木さんのことばをもうひとつ。

今の時代は特に変化するエネルギーがある社会だと思うんだ。それは 毎日の生活、日常の中にもたくさん満ちている。普通に平和に暮らしていた人たちの周りにも、今回のウイルスのようなものがやってきた。でも、これまでどの時代でもそういうことはたくさんあった。もっと日常に目を向けて、暮らしの中で何を大切にしていくか、自分で考えなければいけない。表面的な豊かさに溺れず、個人個人がエポックを画する時代と、楽しみながらきちんと向き合わなければいけないと思いますよ
(『柚木沙弥郎のことば』グラフィック社発行)

(※【エポックを画する】今までにない画期的な出来事により、時代に区切りがつくこと。)

自分で考えること、時代ときちんと向き合うことが語られています。「今」を忘れないことに通じることと思います。

 🦒 🐒 🦁

掲示板の人形
白磁制のキリン🦒とサル🐒とライオン🦁の人形を飾っています。
見た目涼し気かなぁと思って。
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