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2020年12月28日 (月)

死を描く

録画していた「鬼滅の刃」を、坊守と娘(バァバと孫)が見ています。

鬼滅大好きな娘に、バァバが尋ねています。

「“鬼滅の刃”のどこが好き? バァバは、人や鬼が切られて、ちょっと苦手だわ」

ちなみに、バァバは『鬼滅の刃』の単行本を読んでいます。

娘は、『鬼滅の刃』の好きなところを、自分の語彙を尽くして説明しています。

その光景を見ながら、ふと思ったことがあります。

私も『鬼滅の刃』のストーリーは好きですが、取り立てた目新しさは感じません。

『鬼滅の刃』がなぜこんなに人気が出たか!?ということを、「鬼は、ただ残虐なだけの存在ではなく、人間から鬼になった背景があり、その部分が描かれている。炭治郎は、鬼を切った後に慈しむように手を差し延べる」というような解説をされる方もいますが、そういうストーリーのマンガは既にあります。

たおえば、『鬼滅の刃』とともに「週刊少年ジャンプ」で人気の『ワンピース』も、敵キャラが背負っている悲哀が描かれています。

私は、『ワンピース』を読む際に、読む側として心の片隅に留めている事柄があります。

『ワンピース』は、単行本において読者からの投稿と作者がやりとりをするページがあります。

そのページ内で、作者がマンガを描く際に意識していることが書かれていました。

作者は、おばあちゃんから「マンガの中でも、「死ね」とかいうセリフは言わないで欲しいし、実際に死ぬシーンも描いてほしくない」ということを言われたことがあるそうなのです(正確な文言ではありません。何巻に書いてあったかなぁ)。

その想いを受けとめて、作者は極力「死ね」というセリフや、キャラクターが死ぬシーンは描いていないそうなのです。

ストーリー上、敵が主人公に向かって「死ね」ということはありますが、主人公やその仲間が「死ね」ということはありません。

また、これだけ闘いが描かれているのに、「死」を前面に描いたのはエースと白ひげだけではないでしょうか(ここは、描かなければならなかったのです)。

ストーリーに闘いがあるマンガには、読んでいる私たちのなかに、敵キャラの、場合によっては主人公側のキャラクターの「死」を望む気持ちがあるのではないでしょうか。

小学生の頃は、『キン肉マン』を読んでいて、ロビンマスクやウルフマンやウォーズマン、バッファローマンの死に衝撃を受けたものでした。

その衝撃が、敵の強さや事の重大さを表わしていました。

死が描かれることによって、主人公側のキャラクターへの愛情や、敵キャラへの憎悪がこころのなかでハッキリとし、ストーリーの深まりを感じたのではないでしょうか。

『ドラゴンボール』は、修行を共にしてきたクリリンの死によって、悟空はスーパーサイヤ人になります。

なかなか超えられなかったスーパーサイヤ人への壁を乗り越えさせる理由として、親友クリリンの死は、これ以上ない理由・動機だったのです。

「死」からインパクトを受けてきた読者にとって、もしかしたら『ワンピース』は物足りなさがあるのかもしれません。

私個人的には、作者が大切にしているおばあちゃんの想いというものが作品に反映されているんだなぁ。

そういうことを大切に読まなければいけないなぁと思いながら拝読しています。

さて、残酷な描写が少ないなかで、『鬼滅の刃』は、人も鬼も血を噴き出して死ぬし、柱の煉獄杏寿郎までもが死んでゆきます。

「死」の描写に、私たちは良くも悪くもこころ動かされているのではないでしょうか!?

そんなことを、母と娘の会話を横で聞きながら思いました。

で、今日書きたかったことは、『鬼滅の刃』の描写が残酷だ!という筋の話ではありません。

マンガの側の話ではなくて、読む側の話です。

ドラマやアニメに対して「残酷な内容、暴力的なシーンはなくしてほしい」という声を聞くことがあります。

今放送されている朝ドラ「おちょやん」にしても、「幼い子が、親をののしる言葉が嫌だ」とか「子どもが親を蹴るなんて」という感想がありました。

さて、そういうシーンやストーリーを無くしたドラマやアニメが作られたとして、私たちは見るのでしょうか? 楽しめるのでしょうか? 納得できるのでしょうか? 

人間の残酷な側面、汚れた側面は、やはり外しては描けないのではないでしょうか。

目を背けてはいけない部分なのではないでしょうか。

そう考えると、『鬼滅の刃』には、ストーリーやキャラクターの個性とともに、私たちが求めているもの、目を背けてはいけない事柄からの希求が描かれているのではないか!

だからこそ、多くの人が惹き付けられているのではないか! なんてことを思いました。

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