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2020年6月12日 (金)

必要とされてきたから、今、あるのです

「東京新聞」2020年6月2日(火)朝刊 「筆洗」

作家の太宰治がある場所について書いている。「何をしても不安でならぬ時」や「心の弱っている時」にそこに飛び込みたくなるという。その場所にいれば、少しホッとし助けられる。「あんな、いいところは無い」-。どこだかお分かりか▼映画館である。世間から切り離された真っ暗な空間。そこに映しだされる物語に「観衆と共に、げらげら笑い、観衆と共に泣く」。それが救いとなる。映画は「優しい慰め」。よく分かるという人もいるだろう。終戦直後のカネのない時代にも映画館に大勢の人が詰め掛けたと聞くが、これも「心の弱っている時」と関係があろう▼「あんな、いいところは無い」場所が帰ってきた。東京都は一日、新型コロナウイルス対策の休業要請をやや緩め、これによって映画館が営業を再開した。また一歩「普通の日」に近づいた。再開に長蛇の列ができたところもあったそうだ▼不要不急の外出。映画館へ行くのもそれに該当するのだろう。けれども不要不急なものが生きていく上でどれだけ大切で欠かせぬ存在だったか。そう気付かされた自粛期間中の日々だった▼朗報の一方、コロナの影響で映画館や劇場、ライブハウスなどの娯楽施設の中には経営が厳しいところもあると聞く。存続の危ぶまれるミニシアターもある▼人を慰め、夢見る場所を守りたい。その場所は無論、「不要」ではない。

 

「不要不急」か否か

その場所が大切か否か

それは、人それぞれ。

映画館や劇場、ライブハウスなど・・・コロナ禍の前は、ほとんど行かない場所だったのに、外出自粛・営業自粛となった途端に、行きたい‼と思った場所もあるのではないだろうか。

文化や芸術に対して、なにも感じない人、低い優先順位に位置付けている人もいることだろう。

けれど、人びとに生きるエネルギーを与えるのは、文化や芸術。

文化や芸術が衰退している地域や国は、元気がない。

コロナ禍の初期、ドイツ政府は、「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」と、文化や芸術関係の職に就く方々の生計を維持することに努めると語った。

そのことが、ひいてはそこに生きる人々を元気にする。

公益性を理由に文化や芸術の必要性を貶めたならば、私たちは、不安な時、心の弱っている時に頼りとする場所を失う。

文化や芸術は、共に笑い、共に泣く潤滑油。

私たちの安心できる場所を、自ら失ってはならない。

(昨日の投稿から、続けて読んでいただければと思います)

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