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2018年2月21日 (水)

人びとは残酷である。しかし、人は優しい。 タゴール(インドの詩人)

2018年2月19日(月)の「東京新聞」朝刊(12版)を、全体を通して読んでいて、現政府の危うさと稚拙さと脆(もろ)さを感じた。

 

「本音のコラム」

差別的な妄想 宮子あずさ(看護師)

 政治学者の三浦瑠璃(るり)氏が、出演した番組で、北朝鮮のスパイが大阪に多く潜伏していると発言。批判を浴びている。
 訪問看護でうかがう先にも、類似する妄想を持つ人がいる。今回の件で、在日コリアンの人たちの怒りを聞くにつけ、自分の対応に疑問を持つようになった。
 私はこれまで差別的な妄想に対して「妄想だから仕方がない」と考えるようにしてきた。ある男性はいつも無音のテレビを見ていた。「放送の音は嘘。工作員へのメッセージが隠されているんです。だから、話している人の唇を読まなくちゃなりません」と話す。私はあえて反論せず、なるべく話をそらした。
 その後、彼はがんで亡くなったのだが、妄想におびえた暮らしを思うと、今も気の毒になる。妄想自体は病気。そこで彼の思想性を問うのは酷な話である。また、妄想を頭ごなしに否定しても、病状はよくならない。
 一方で、現実感が持てるよう関わるのは、看護の基本。「私は、工作員なんてここにいないと思う」と現実を伝えてもよかったように思う。この関わりは理にかなっているし、私自身の気持ちを守るために、言うべきだったと思うのだ。
 看護師にも大事にしたい価値観がある。私は差別のない世界に貢献したい。差別がとがめられぬ現状だからこそ、差別を肯定しない態度にこだわりたい。

 

一面

「北の脅威」政府に矛盾
衆院選「危機的」→安保法訴訟では否定

「北朝鮮の脅威」を巡る政府の主張の矛盾が明らかになった。安倍晋三首相が昨年10月の衆院選で、北朝鮮情勢が「危機的な状況」だと強調した一方、同時期に行なわれた安全保障関連法に関する訴訟では、米国と北朝鮮が衝突する危機にあることを政府自身が否定し、主張を大きく変えているためだ。野党は政府の説明を「二枚舌」と批判。今後の国会審議で追求を強めることも予想される。(新開浩)

 衆院選を通じ、首相や小野寺五典(いつのり)防衛相は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮と、武力行使を含む「全ての選択肢」を否定しない米国との間で、昨年末から今年初めにかけ、緊張が極度に高まる可能性を訴えた。
 首相は衆院選前日の演説で「北朝鮮の危機がある中で、安保法を廃止すると言う人は、あまりにも無責任だ」と強調した。
 一方、集団的自衛権の行使を容認する安保法が憲法九条に違反するとして、陸上自衛官の男性が、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」での防衛出動命令に従う義務がないことの確認を、国に求める訴訟を起こした。
 一審の東京地裁は昨年三月の判決で「原告の部隊に出動命令が出る具体的な可能性があるとは言えない」などとして訴えを退け、男性は東京高裁に控訴した。
 衆院選から約一カ月後の11月末、法務省は高裁に提出した準備書面で、男性が主張した米国と北朝鮮との武力衝突の可能性を「抽象的な仮定」と指摘。存立危機事態が発生する可能性についても「現時点における国際情勢」を理由に想定できないとした。国は北朝鮮情勢の深刻な危機を認めなかったことになる。
 しかし、東京高裁は先月末の控訴審判決で、安保法の成立を理由に、存立危機事態の発生を想定できないとした国の主張を「採用できない」と判断。男性の訴えは「適法」として一審判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。
 衆院選と控訴審での政府の主張の食い違いに関し立憲民主党の枝野幸男代表は14日の衆院予算委員会で「一方で、すぐにもミサイルが飛んできそうな危険をあおりながら、一方では具体的な危険はないと堂々と主張している。二枚舌ではないか」と批判した。上川陽子法相は予算委で、訴訟での法務省の主張を説明しただけで政府内で主張が異なる状況は変わっていない。

 

二面

拉致問題で教員に研修
今秋から 政府、若者へ啓発強化

 政府は北朝鮮による日本人拉致問題を巡り、小中高校の教員を対象とする研修を今秋から実施する方針を固めた。内閣府による昨年秋の世論調査で、拉致問題への若年層の関心が低い傾向が出たことを踏まえ、啓発活動を強化する。教員に拉致問題に対する理解を深めてもらい、授業内容に反映するよう促す。政府筋が18日、明らかにした。
 拉致問題を風化させないとの意思を北朝鮮に示す意味合いもある。政府関係者は「日本国民全体が拉致問題を解決するとの思いを持ち続けることが重要だ」と説明する。
 内閣府が昨年10~11月に実施した外交に関する世論調査で、北朝鮮への関心事項を複数回答で聞いたところ、拉致問題を挙げた人の割合は18~29歳が最も低く64・9%。最多は60~69歳の85・3%で、若い世代の拉致問題への関心が薄れつつある現状が浮き彫りになった。政府内では、2002年の拉致被害者五人の帰国から15年以上が経過し、拉致問題を知らない小中高校生が増えているのではないかとの懸念が広がっている。
 政府は4月以降、都道府県や政令指定都市の教育委員会事務局を通じ研修参加者を募集する予定。当初は数十人規模の参加を見込む。拉致現場視察や被害者との懇談のほか、実際に授業で拉致問題を取り上げている教員と指導法を意見交換する場も設ける。政府が毎年12月に開く拉致問題に関する国際シンポジウムへの参加も求める。

 
(雑感)
拉致問題が風化しているから、小中高の教員を対象とする研修会を実施し、授業内容に反映するように促す。って、ひどくと思います。拉致問題が風化している、関心が薄れていると感じるのならば、それは、自分たち(政府)が何もしていないことの表われなのではないですか?(実際に動いている方はいることと思いますが)  政府が北朝鮮と交渉を続けている過程を示す、拉致被害者ご家族との連絡を密にする。そのような姿勢を見せていれば、決して風化はしないし、関心が薄れるということもありません。

風化させたくない。と、言いながら、自分たちがしてきたことは無かったことにしようとする。お金で解決を図ろうとする。
ひとたび戦争が起これば、目を覆いたくなるような現実が日常となってしまいます。自分が被害を被る身ともなるし、加害者ともなり得る。それが、戦争。「話の分かる相手ではない」「何をしてくるか分からない奴等だ」「昔やったことの反省がない」と言うけれど、そのまま同じことを言われているかもしれない。で、言われている内容も決して間違いではない。
戦争が起こらないために、戦争を起こさないために、政治家として交渉に尽力してほしいと思います。戦をするための法案を通すために、「北朝鮮の脅威」を声高に叫びながら、都合が悪くなると否定する。何か、妄想でも膨らましているかのような。
同じ2月19日の朝刊 スポーツ欄に、スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒選手と、銀メダルに輝いたライバルであり親友である李相花選手(韓国)の、お互いを讃え合うことばが載っていました。

(李相花選手は)力を尽くしたレース後、小平からは「今もあなたを尊敬している」と言葉を掛けられたという。涙で抱き合った元女王は「私もあなたを誇りに思う」と応じた。

どの報道機関も大きく取り上げていました。最大のライバルであり、最大の親友。
お互いの国どうしの関係を見ると、決して良好な状況ではないけれど(誰がそうしてる?)、人と人との結びつきは、国境も、ライバルという関係も越えて、手を取り合うことが出来る。お互いを尊敬し、お互いを成長させる。国と国との関係になると難しいのでしょうか? 小平選手と李選手の関係を、ちょっといい話とか美談の体で報道するのではなく(受け止めるのではなく)、人と人とは、そういう関係が結べるんだと、受け止められたら。私の日常は、私と国との関係で生きているのではなく、私と目の前のあなたとの関係。人と人。そこから一歩一歩の、一日一日の歩みを大切にしたい。

新聞の読み応えのある朝でした

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