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2017年12月14日 (木)

諦めない心を

「私たちを最も追い詰めてきたのは、最も苦しめてきたのは、『イスラム国』でもアサド政権でもなく、世界から無視される、忘れ去られているという感覚なのです」。シリアから逃れ、避難生活を送る人々に投げかけられた言葉を今、改めて思い返す。この1カ月だけでも、世界で起きた悲劇は数えきれない。シリア、イラクの戦火は消えず、ソマリアの首都では爆発で300人以上の命が奪われた。

麻生太郎副総理が講演で北朝鮮から避難者が日本を目指してくる可能性に触れ、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか」と発言した。確かにイラクでは、武装勢力が難民に紛れてくるかもしれないと、対応に追われている現場も目の当たりにした。議論が必要であることに疑いはない。ただし攻撃を企てる武装勢力はそもそも難民とは呼べない。自衛のために武器を所持していても、保護過程で放棄してもらって対応できる。「武装」と「難民」という相いれない言葉を混同して使うことで、誤解が広がるばかりか「リスク」ばかりが強調されてしまう。争いとは全く関わりのない人々が翻弄(ほんろう)され続けていることに、光は当たってきただろうか。

イラクの友人の言葉を記したい。「人間だから戦争がなくならないんじゃないかって? 違うよ。どうせ人間はそんなものだって諦めてしまう、人の心がそうさせるんだ」。争いを止めること、互いを受け入れること、共に難題であっても挑み続けたい。(フォトジャーナリスト)

週刊サラダぼうる・安田菜津紀の写心館「忘れ去られる苦しみ」より
(「毎日新聞」2017年11月20日)

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