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2017年7月 8日 (土)

植え付けられた「恐怖心」によって、他者を貶める。自分も、他者から見れば「他者」。

一点 一点を客観視していると見えないこと(感じないことも)、主体性を持つと、ひとつの線として見えてきます。

「毎日新聞」 2017年7月7日(金)配信

「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法が11日施行される。犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」で社会はどう変わるのか。「昭和史」「日本のいちばん長い日」で知られる作家の半藤一利さん(87)、1990年代に薬害エイズ事件で被害者の支援活動をした漫画家の小林よしのりさん(63)は言論の自由が脅かされ、監視社会が加速する恐れがあると指摘する。

大きな転換点に 作家、半藤一利さん
「共謀罪」法を一つの「点」と捉えず、特定秘密保護法(2013年成立)や安全保障関連法(15年成立)、改正通信傍受法(16年成立)と続いた一連の法律とともに「線」として見ると、安倍政権が4年間で成し遂げたことの意味が分かる。
安倍政権は短期間で「戦争ができる」体制を整えた。憲法の平和主義を改憲論議前に骨抜きにした。戦前の日本は陸軍の参謀本部が外部の情報を遮断して戦争に突き進んだが、安倍晋三首相は身近な人間を寄せ集めた“参謀本部”を作り、官邸主導の政治でナショナリズムを進めている。
「共謀罪」の277の対象犯罪を見ても、何をしたら犯罪になるのか、どのようにしたらテロを防ぐことができるのかが分からない。客観的基準がないから、時の権力が主観的に基準を変えて運用する怖さがある。有事には言論の自由さえ抑えつけられてしまうだろう。
もちろん、施行後すぐ戦争への道を歩み出すことはない。戦前の治安維持法だって、施行された25年には革命を目指す共産主義者を取り締まるという限定した目的だった。だが大戦直前の41年の2度目の改正で一般人も取り締まりの対象になった。私の父も3回警察に引っ張られた。近所の人たちで作る隣組によって密告されたのだ。「共謀罪」も時間とともに私たちを縛るだろう。
時代背景や条件が異なるから、先の大戦と同じ形で「歴史が繰り返す」ことはないだろう。だが人間はそれほど進歩しない。変わらないから、同じ過ちを犯す。皮肉だが日本人の順法精神は高い。法律に反する行動をしたとなれば国賊扱いされるだろう。公安警察の役割が増し、世の中の監視体制も強まって社会は萎縮する。この国は大きな転換点を越えた。一連の法律の施行は、安倍政権による上からの革命だったのかもしれない。
【聞き手・川名壮志】


国の活力を失う 漫画家、小林よしのりさん
日本はイスラム過激派に「負けた」。彼らは一度も日本でテロを起こすことなく、恐怖心だけ波及させた。安倍政権はこの心理を利用し「共謀罪」法を成立させた。今後は捜査機関による市民の監視が強まり、国全体の活力がどんどん失われるだろう。
政府がどう言いつくろっても、「共謀罪」はテロ対策に役立たない。マイナンバー、特定秘密保護法、通信傍受の強化と、国による国民監視を強めていく流れの一環だ。既に「共謀罪」がある国でもテロを防げていない。テロ対策には限界がある。
国会審議はひどかった。わしが衆院法務委員会の参考人になった時、熱心に耳を傾けてくれた与党議員も最後は強引そのものだった。「何が何でも会期内成立」の結論ありきだったとしか思えない。
とはいえ「共謀罪」への疑問や怒りは、いずれ世間から忘れられるだろう。安全保障関連法の時も内閣支持率は落ちたが、やがて戻った。安倍政権もそう考えている節がある。それどころか悪のりして「テロ等準備通信傍受法案」を出して、テロ対策を口実に捜査機関が電話やメールを傍受できる範囲を大幅に広げるようなことをしかねない。
政権を自由に批判することも含めて、表現は人間の活力だと思う。わしは90年代、薬害エイズの被害者とともに国への抗議運動に取り組んだ。市民運動は「こんな不条理を許していいのか」と憤る人たちの集まりだ。物言わぬ市民がやむにやまれず発言し世の中を動かすこともある。でも「共謀罪」は、そうした行動もためらわせるのではないか。
表現の萎縮は、安倍政権以前から起きている。言論人も文化人もジャーナリズムも、政権への追及が甘いと感じる。権力になびくより闘う方がかっこいい。「共謀罪」で闘いづらくなっても、なにくそ、という気持ちは持ち続けたい。
【聞き手・遠藤拓】

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