私は、あなたの成長を想い続けています
「2017年4月23日(日)兵庫県伊丹市のマンションの一室で、40歳の父親と4歳の長女が死亡いているのが見つかった」と、夕方のニュースで報道していました。
長女の両親は離婚し、母親と暮らしていたそうです。4月23日は、父親との初めての面会日。そして、事件が起きました。
つらく悲しいニュースです。
離婚の背景は分かりません。
どうして父親が娘に手をかけて自死したのか、その理由も分かりません。
離婚の理由は、離婚した夫婦の数だけあります。
父親がしたことの理由も、想像はできても、当人の気持ちを知る術はありません。
何事にも、理由はさまざまあり、当人・当事者にしか分からないこと。仮にすべて理由を聞くことができたとしても、「子どもがいるのに、どうして離婚するの!?」なんて言う人も多い。
離婚は、悩んだ末のことでしょう。父親との面会も、母親にしてみれば苦渋の決断だったかもしれない。本当は嫌だったかもしれないし、会わせたい気持ちもあったかもしれない。
本当に、理由は当人にしか分からないのです。だからこそ、当人どうしで話し合う必要があるのだけれど、DVともなれば、話し合いなんてしてもいられない状況もある。そこに、一見正論な法で人びとの生活を縛ろうとする動きがあることに、はらわたが煮えくりかえる。
ニュースを聞いて、2017年4月12日(水)「東京新聞」朝刊「本音のコラム」を思い出しました。
親子断絶防止法の罠 斎藤美奈子子どものいる夫婦の関係がこじれたとする。話し合いによる円満離婚が難しい場合、考えられるパターンは4つある。
①妻がひとりで出ていく。
②夫がひとりで出ていく。
③妻が子どもを連れて出ていく。
④夫が子どもを連れて出ていく。
①②はいわば「家族を捨てる」わけだから「ほかに好きな人ができたんです」というケースが多いかもしれない。
③はありがち。とりわけ妻が夫の暴力から逃れたい場合、これ以外の選択肢はないともいえる。
④はあまり多くない気がする。子どもは母親に任せておけばいいと考える父親は多いし、男性にとって子どもは仕事の足手まといだしね。
「親子断絶防止法」をご存知だろうか。他の重要法案といっしょに今国会に提出が予定されている法案で、離婚して別々に暮らす親子の面会交流を促すのが主な目的という。離婚後の親権者は8割が母親。子どもと会えない父親からの訴えが増えているためらしい。つまり想定されているのは③のケースだ。「勝手に出ていったくせに子どもに会わせないとは何事だ」って話ですよね。
一見正当な主張だが、法案を推進する馳浩衆院議員は「黙って子どもを連れて出て行くケースがあるが、それは基本的にはいけない」と語っている。結局は夫のための法案か。本当の目的は同居の強制かも。(文芸評論家)
斎藤美奈子さんのことばは、男性には耳が痛いこともありますが、でも的確です。目をそらしてはいけないことを、ズバリと言ってくださいます。
戦争法や共謀罪ばかりに意識が行ってしまいますが、家庭のこと・学校教育のこと・仕事環境のことに、政府は口を突っ込みすぎだと感じています。一見筋が通っているようなことを言っているけれど、実は全然人びとの生活が見えていないことを言っているのだから、私たちの生活は、政府が良いように作った法律に縛られてしまいます。
子どものためを想っているのか、自分第一で物事を主張しているのか。子どものことを想うなら、面会を求めるばかりではなく、影ながら子どもの成長を想うことも、たとえ離婚しても、父親としての努めです(もちろん、いろいろな状況がありますから、一概に言えることではありませんが)。
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