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2017年2月27日 (月)

実際に罪を犯した者も、頭の中で考えた者も、罪としては同じなのだと想います。そういう重さを背負って生きています。

海老原宏美さんの寄稿を読んで、(2月25日)朝から感動していました。
障害をもった方が、どうして差別され、「生きる価値がない」「迷惑をかける」という目で見られるのか。
障害をもった方に限らず、どうしてこうも排他的な世の中なのか。
海老原さんの寄稿にある
「ただそこに静かに存在するだけの人間にその尊厳を見いだすことも、人間だからこそできるはずだ。」
そういう尊厳を見いだす感覚が、今、希薄なのかもしれない。
また、
「貢献度の低い重度障害者を切り捨てれば、次は高齢者が貢献していない存在になる。」
とも語られている。
内容はどうあれ、価値の有無で人間を見ると、優れた者とそうでない者、必要がある者とそうでない者などを生み出してしまう。分かっているのだ。自分より下位の存在が必要であるということは。下位に位置付けられる者は排除される、自分はそうはなりたくないという想像力ばかりが膨らみ、排除される者への想像力は欠如している。それゆえ、ヘイトスピーチが声高に叫ばれるのではないだろうか。
海老原宏美さんの寄稿を、ひとりでも多くの方に読んでもらいたくて、投稿します。本当はよくないことなのかもしれませんが、私の選びで抜粋するのも失礼だと思い、「東京新聞」に掲載された全文を投稿させていただきます。


障害者の自立を支える 海老原宏美さん寄稿

 事件を知った時、被害に遭われた方々の恐怖と無念を思えばどこまでも気持ちが沈んだ。けれど、事件が起きたことに対して大きな衝撃は感じなかった。
 障害者は生まれた瞬間から差別されている。「社会に必要ない」「周りに迷惑をかけるだけ」「生きていてもかわいそう」と、常に排除、隔離、区別されていると思うからだ。
 働いて税金を納める。そんな「健全な」人間を産み育てられるような「生産性」こそが社会貢献だとする。そして、より貢献している人間に、より分配されるべきだという「分配原則」。それらが障害者差別の社会的価値観を作る。
 貢献度の低い重度障害者を切り捨てれば、次は高齢者が貢献していない存在になる。高齢者を切り捨てれば次は病弱者・・・。どんなに切り捨てても、また新たな社会的弱者が生まれる。
 切り捨てた側の人間も、「次は自分が切り捨てられるのでは?」と、おびえる。常に社会の顔色ばかり気にして、自分らしさを出せずにどんどん追い詰められていくに違いない。
 人の価値というのはどのように決まるのか。
 私は、「価値のある人間と価値のない人間」という区別や優劣があるとは思っていない。ただの木にすぎない縄文杉を見て感動できるのは、人の心が価値を創り出しているからだ。
 価値を創り出すという能力は、唯一、人間にのみ与えられている。そう考えるとき、ただそこに静かに存在するだけの人間にその尊厳を見いだすことも、人間だからこそできるはずだ。それができなくなった時、相模原であったような悲惨な事件が起ってしまうのではないだろうか。
 存在するだけで社会に「価値とは何か」を問い続ける。そんな重度障害者は、存在しているだけで社会に大きく貢献しているとは言えないだろうか。
 やまゆり園の事件の被告が、十九人の尊い命を奪った罪は大きい。しかし、これを「特殊な人間が起こした特殊な事件」「えたいのしれない人間は隔離するべきだ」と片付けてしまっては、社会が重度障害者に何の価値をも見いだそうとせず、施設や病院に押しやってしまっているのと同じではないだろうか。
 (新出生前診断で染色体の異常が確定した)障害胎児の95%近い中絶率を容認する現状は、被告の主張とも共通する価値観から来ていないだろうか。今こそ自分たちの価値観と向き合い、この事件を自分事として引き受ける必要があると思う。

海老原 宏美(えびはら ひろみ)さん
1977年、神奈川県出身。脊髄性筋萎縮症で人工呼吸器を24時間使って自立生活を送る。NPO法人「自立生活センター東大和」で障害者の権利擁護活動に励む。映画「風は生きよという」(2015年製作)に出演。人工呼吸器で命をつなぎ、地域の障害者の自立を支える活動が評価され、本年度の都女性活躍推進大賞を受賞。 
-〔「東京新聞」 2017年2月25日(土)朝刊より〕-


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