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2012年3月 6日 (火)

佐々木道範さん「『真宗聖典』を開けるようになりました」

佐々木道範さんの、
「最近やっと、『真宗聖典』を開けるようになりました」
ということばを聞いて、親鸞聖人が表明されている「愚者の自覚」「愚禿の名告り」とは、こういうことなんだなぁと痛感させていただいています。
佐々木さんは、原発の事故後、初めは怒りが国や東電に向いていました。しかし、外で自由に遊べなくなった子どもたちと接するうちに、「こんなことになったのは、原発の危険性を疑わず、原発が有る生活を享受していた私のせいだ。子どもたちを自由に遊べなくしてしまったのは自分なんだ」と深く懺悔されます。
そこから、こんにちに至る佐々木さんの歩みがあります。福島の声を聞いてほしいと、全国各地でお話をされています。NPO法人「TEAM二本松」を立ち上げ、放射能測定装置を購入し、子どもたちの口に入る食べ物の放射性物質の数値を測定したり、今は、新たな目標として、空間線量の数値の少ない福島県内の土地を購入し、徹底的に除染をし、子どもたちが遊べる場を作ろうと歩み出されています。
その姿から、自身に対する徹底した懺悔と、子どもたちに対する讃嘆を感じます。その自覚こそが「愚者の自覚」であり、だからこそ『真宗聖典』を開けるようになった、おしえに出遇うことができたのだと思います。

愚者の自覚…「愚か者である」という自覚ではありません。
お釈迦さまや親鸞聖人がお説きくださった、縁を生きる存在。私たちは、生きとし生けるものは、縁を生かされています。そのことは、「つながりを持てたことに感謝」とか「良い行為には良い結果がくる」などといいう話ではありません。縁を生きる、いえ、生かされているということは、たとえ自分にその気はなくても、人を傷付ける・苦しめるということが起こりうるのです。あるいは、自分が傷付けられ、苦しめられるということもあります。
佐々木さんの、「原発の事故の責任は自分にある」と言われるようになる転換には、縁の気付きがあります。「愚者の自覚」とは、「縁の気付き」ではないでしょうか。

~回想~
「縁」によって生きているということは、事件事故に遭うこともある。
と言ったら、僧侶仲間から「そんなこと、被害に遭った人の前で言えるのか」と首を絞められたことがあります。

つらい出来事も縁によって起きます。
と言ったら、「そんなこと言わないでください」と泣かれたことがあります。

自分ではその気はなくても、人を傷付けることがあります。
と言ったら、「私はそんな生き方はしていません」と怒られたことがあります。

親鸞聖人は「愚者の自覚」「愚禿の名告り」をされました。
と言ったら、「しんらんさんって、そんな人だったんですか」と蔑まれてしまったことがあります。

「愚者の自覚」は、おしえに出遇う大切なことです。
と言ったら、それが目的になってしまったり、私は自覚をしましたと堂々と言われてしまったことがあります。
~回想 ここまで~

思い出すままに書いていたら、いろいろ思い出してしまいました(まるで私はトラブルメーカーのような)。
「自己の懺悔・弥陀の讃嘆」「愚者の自覚」「愚禿の名告り」が大切で、親鸞聖人にはそれがある。と言うと、私たちはどうしてもそれが目的になってしまったり、あるいは否定してしまったりする。
佐々木さんの自覚には、目的だとか、そんなんじゃダメだとかの思考(こうすれば阿弥陀に遇える・救われる)はまったくなく、生きているものが抱える悲しみ(縁)に出会い、感じ、受け止め、歩み出されています。その歩みの中で、真宗聖典を開けた、おしえに出遇えたのだと思います。
賢くなるため、理解するため、そのことによってすくわれるために『真宗聖典』を開くのではなく、生きているなかで『真宗聖典』が開かれてきた(おしえに出遇えた)のです。

佐々木さんの
「最近やっと、『真宗聖典』を開けるようになりました」
の一言に、親鸞聖人に出遇えた人がここにいる!という感銘を受けました(佐々木さんからは「そんなたいそうなことではありません」と言われてしまうかもしれませんが)。大切な告白だといただいています。

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