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2012年1月31日 (火)

点と点が結ばれて線となる

ご本山での御遠忌法要も終わり、これからは各地の教区・お寺で御遠忌法要が勤まります。
「御遠忌法要も終わり」と、形式上は表現しますが、まだまだ御遠忌は終わりません。いえ、親鸞聖人がお示しくださった念仏のおしえは、これからも語り継がれ、感得され続けてゆきます。
御遠忌は、ある側面から見つめた一点にすぎません。御遠忌をご縁に、初めておしえに出遇えた人や、あらためて出遇い直した人がいて、おしえは、この時代に広く伝わり、時を超えて伝わり続けます。聞く人は個人でも、おしえによって、個人と個人、点と点がつながってゆきます。

御遠忌の年に起きた災害と原発事故。
災害や原発事故で被災し、今、現に苦しんでおられる人々がいる。その事を思うとき、「御遠忌法要などやっている場合か。法要をやめ、法要で使う経費を、義援金として被災者に届けろ」という声も聞こえてきました。
でも、それは違うと思いました。
法要(おしえ)を通し、親鸞聖人に、お念仏に出遇う人々がいます。親鸞聖人在世の頃から、800年ほど経つこんにちに至るまで、おしえに生きた人と人はつながってきました。そのつながりが、遇(たまたま)御遠忌という節目を迎えたのです。そのつながりがなければ、御遠忌を迎えることもありませんでしたし、義援金に回すお金も集まっていません。
「被災された方々のことを想い、支援させていただく」。そのことに文句をつける人はいないでしょう。けれど、「法要をやめて、その経費を義援金に」という発想は、ここまでのつながりを絶てということになります。
つながりあればこそ おしえに出会い、そのおしえが根っことなってボランティア活動に一生懸命取り組む人・募金活動に取り組む人・つらい思いをしている人々がいることを忘れないように心に刻む人などが生まれてくるのです。
点と点のつながりによって線となり、時を超え、空間を超えて、おしえが今、私に届いています。
法要をしている場合か、法話を聞いている場合か、机上の学びでいいのか、被災地に行かなくていいのか。どうして自分を追い込むのでしょう。
法要や法話、おしえに触れる機会があったなら、そのおしえにどっぷりつかればいい。そんなご縁、めったにないのです。おしえを聞いた(おしえに聞いた)ところから、またつながりが生ずるのでしょう。聴聞の歴史って、そういうものだったのでしょう。聴聞している場合ではないのではないか…そんな聴き方からは、何も聞こえてきません。つながりが生まれません。
ボランティアも、行けるのならば 行って存分に尽くしてほしいと思います。稀なご縁をいただいているのです。でも、あなたの力を必要としている人は、被災地だけにいるのではありません。常日頃 隣にいる人が、あなたの助けを求めています。そのことに気付かないで、ボランティアこそ大事だと言うのであれば、私はそれは違うと思います。点と点のつながりを求めて被災地に足を運んでも、一番身近で結ばれている線を、自ら断ち切ってしまうことになってしまいます。

親鸞聖人のおしえをいただいて、すでに線で結ばれたつながりの中を生きている。
聴聞する身は私個人であっても、おしえでつながっている。だからこそ、協力しあえる・想いがはたらく。聴聞を通して、人(いのち)が見えてくる。「法要している場合か」「聞法している場合か」というのは、他者(ひと)のことを想っているようでいて、結果つながりを断つことになってしまいます。

「今、いのちがあなたを生きている」
御遠忌テーマが不評だったのは、点と点がつながって線となる感覚の希薄さによるものだったのかな。今、そう思います。

そういえば、ブログで御遠忌法要団体参拝記を書いたときも、「“法要”の感想が短いですね」と言われてしまった。たしかに、参拝記全体からすると、“法要”の感想はとっても短い。しかし、私にとって御遠忌法要は、準備している頃から始まり、門徒さんたちと新幹線に乗って、長浜別院行って、御遠忌法要お参りして、比叡山行って、有馬温泉行って、神戸の震災記念館行って、帰ってきた次の日のお通夜も含めて、一連の流れ(つながり)が御遠忌法要であって、けっして、ご本山での法要だけが御遠忌法要ではないのです。
こういうことも、ひとつひとつは点だけれど、点と点がつながって線になっているのです。
この線は、親鸞聖人が始発点ではありません。親鸞聖人以前から始まっています。また、2011年の御遠忌法要が終着点でもありません。これからもまだまだ続きます。

点ではなく、線を感じてみませんか。

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