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2012年1月21日 (土)

他者(ひと)を思わぬ私

昨晩、ブログで雪に関する文章を書いて床につく。なかなか寝付けず、時計の音が耳に響く。

雪…一面真っ白の小学校のグランドが思い起こされる。
小学何年生の時だっただろう。担任の先生が、「これが済んだら、みんなでグランドで遊びましょうね」という。“これ”が何だったか忘れたけれど、体育館や理科室など、教室以外の掃除だった気がする。まだ誰も足を踏み入れていない雪のグランドで遊ぶことをクラスみんなが楽しみにしている。
そろそろ“これ”も終わり、グランドに駆け出そうとしたとき、私たちよりも先にグランドを駆け回るクラスが!!
私たちは、「私たちが遊ぶはずだったのに」と落胆し、担任の先生に詰め寄る。べつに、うちのクラスだけが独占使用権を持っていたわけではないのに。先生を困らせたなぁ。私もそのひとり。

などと思い出していたら、プールの映像が。寒い冬から夏の場面が思い出された。
私たち6年1組は、学校のプール開きを前に、プールの掃除を任された。他のクラスは、授業をしている。プールの苔や汚れを、デッキブラシでゴシゴシこする。汗をかきながら掃除を終えると、担任の先生が、「みんな、ご苦労さま。まだ時間があるし、遊ぶか!!」 当然、プールに水は入ってないけれど、ホースの水をまき散らし、けっこう楽しく遊んだ記憶がある。
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン
授業終わりのベルが鳴り、クラスのみんなは、バスタオルで髪を拭きながら教室へ。クラスの誰もが「楽しかったね」と口にしながら教室へ。きついプール掃除のはずなのに、楽しみながら戻ってきた私たちを、他のクラスの子たちは、うらやましそうに見ていました。
次の授業時間、担任の先生が授業の始めに言いました。
「お前たちな、他のクラスの子たちだって、プールで水遊びしたかったさ。でも、お前たちだけしかできなかったことだ。お前たちだって、遊びたいのに遊べなかったら、うらやましいだろ。“楽しかった”なんて言いながら戻ってくる奴がいたら、腹が立つだろ。そういう嫌な想いをさせるようなことを、わざわざ大きな声を出して言うことはないんじゃないか」
もっともだと思い。恥ずかしい思いがした。楽しい思いをしたことを、うらやましがらせようと思う私がいた。

眠れぬまま、まぶたを閉じて横になっていたけれど、一面真っ白のグランドや水が飛び散るプールサイド、担任の先生の声が、脳裏に浮かんだ。
他者(ひと)を思わぬ私がいた。今もここに横たわっている。

金子みすゞさんの詩「積もった雪」を思い出していた。
積もった雪を、上の雪 下の雪 中の雪など、階層に分けて、それぞれの想いを感じ取ろうとするだろうか。積雪の一塊としてしか見られない。邪魔者・迷惑者とは感じても、そこにつらさを感じ取るこころが、私にあるだろうか(いや、ない)。
小学生の頃の回想シーンは、たしかにあったことだと思う。年をとると、事実なんだか記憶違いなんだか妄想なんだか分からなくなるときがある。でも、たしかに事実。
他者(ひと)の悲しみ・つらさを感じられない私がいる事実。

眠れぬまま、金子みすゞさんのことを想う。彼女は、客観的に雪を見つめてたんじゃない。雪そのものになってたんだ。だから、上の雪 下の雪 中の雪の寒さ 重さ 淋しさがことばとなって出てきたんだ。
そのことばは、寒さ 重さ 淋しさがしみているけど温かい。
他者(ひと)を責める声は、雪の冷たさよりも、もっと冷たい。

結局眠れぬまま 朝を迎えた。

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