親鸞さまがおわします①
【プロローグ】
来年2011年、宗祖 親鸞聖人(1173~1262)の750回御遠忌法要が勤まります。
いのちを終えて後、750年を経ても伝わる聖人の人柄・おしえとはどのようなものだったのでしょう。御遠忌を前に、聖人の生涯・足跡を訪ねてみたくなりました。
【第1回 誕生】
1173年(承安3年)、京都 日野の地に、親鸞聖人は誕生されます。
父は藤原家の流れをくむ日野有範(ひの ありのり)。公家の下級官吏でした。出家隠棲したと言われています。母は、源氏の流れをくむ吉光女(きっこうにょ)と伝えられていますが、確かなことは分かっていません。母とは幼いときに死別しました。
聖人誕生の頃、源平の争いによる戦乱と、大火や飢饉で、京の都には死者が溢れていました。まさに明日とも知れないいのちを、誰もが生きている時代でした。
聖人と四人の弟たちは、伯父の日野範綱(ひの のりつな)の家に預けられ、幼少期を過ごします。また、もう一人の伯父の日野宗業(ひの むねなり)に、漢籍(漢文で書かれた中国書籍)や今様(平安期に流行した歌の形式)を習いました。
漢籍や今様を学ぶため、範綱の屋敷と宗業の屋敷とを行き来します。その時間は、都の様子を肌で感じる時間でもありました。
都に溢れる死者とその臭い。死者の身に付けているものを奪って、いのちをつなぐ者。荒れ果てた世の中において、なんとか希望を見出して生き抜こうとする者。それらとの出会いは、幼く、好奇心旺盛な聖人にとって、宗業のもとでの修学以上に、多くの刺激を得るものでした。
「親鸞さまがおわします」は、私の中での親鸞聖人、私のいただきを書いています。史実とは違う点も出てくることもあるかと思いますが、ご理解のうえ、お読みください。
毎月1日発行の寺報(ペーパーメディア)に掲載していますが、ブログには、毎月28日にアップしようと思います。