自分の好きにしたら、どうなることでしょう
24日、「憲法解釈の変更を」という見出しで報じられたニュースがありました。
憲法9条解釈の見直しを検討してきた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は24日、現行の憲法解釈では禁じられている集団的自衛権の行使を容認するよう求めた報告書を福田康夫首相に提出した。
自分の意見に合わせるために、「憲法9条解釈の変更を」と言っているようにしか読ませんでした。
自分はこのように思っている。
自分はこのようにしたい。
自分の意見が正しい。
だから、憲法の解釈の変更を・・・
それが成り立ってしまえば、憲法も、法律も、約束ごとも、暗黙の決まりごとも、ぜんぶ自分の都合のいいように変えられてしまう。
ということは、憲法も、法律も、約束ごとも、暗黙の決まりごとも、ぜんぶ無いのといっしょではないだろうか。
自分の意見・思想・考え方を基点として、みんながまもるべき約束ごとの解釈を変えようとする姿勢に驚きました。
しかし、法律やルールは、世や時代によって変わるもの。数年前には無かったルールが生まれてくることもある。不可だったことが可になったり、可だったことが不可になることもある。つまり、流動的なもの。
恐ろしいなと思ったのは、国家権力を持っている方々が、憲法までも、自分たちの都合のいいように解釈できると思っていることです。

6月16日~18日、研修会(第45回全国青年研修会 IN TOKYO いのちの渦-憲法9条はだれのもの?)に参加させていただきました。
憲法、特に日本国憲法9条を学ぶことを通して、人を人として見ることができない現実に触れ、人間の深く悲しい姿に光が当たるような研修会を開催していきたい。
-研修会の呼びかけ文より-
16日は、伊藤真先生(資格試験予備校伊藤塾 塾長・弁護士)のお話を聞かせていただきました。
憲法と法律の違いについてお話くださったところが印象に残っています。
法律は、国民の自由を制限して、社会の秩序を維持するためのもの
→国民に対する歯止め
憲法は、国家権力を制限して、国民の人権を保障するためのもの
→国家に対する歯止め
伊藤先生曰く、「憲法は法律の親玉みたいなものだと思っている人がたくさんいますが、そうではありません」
私もそのように勘違いしていた一人でした。
「憲法は、国家権力を制限して、国民の人権を保障するためのもの」
憲法第99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とあります。「国民」の記述がないのは、憲法は、権力の暴走を予期し、それを防ぐためのものだから。

常々不思議に思っていることがあります。
憲法9条をどのように読めば武力を持てるのだろう、海外に派兵できるのだろう、人を殺せるのだろう、自分の大切な人を戦地に行かせられるのだろう、人と人が殺しあえるのだろう・・・
そして、もっと不思議に思っています。
どうして戦争をしたがっているのだろうって。
憲法にしても、人の話にしても、読んでいる本や見た映画のことだって、
誰もが、自分の都合のいいように見、聞き、受け止めてしまうもの。
人それぞれの、受け止め方があるもの。
でも、
憲法にしても、人の話にしても、読んでいる本や見た映画のことだって、
自分の理想に合わせて見、聞き、受け止めてしまうのは、
私が対しているあなたを無視するようなもの。
無視の結果は、自己否定。
権力の暴走・国民の無視が、目に見える時代。
今、自分にできることを考えています。

日本国憲法
第2章 戦争の放棄
第9条
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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お久しぶりです!
さて、今回の問題は二点有りますね。
解釈の拡大
9条の軽視
先人の経験から憲法が制定されたんだと思うんです。
「解釈」は人それぞれかもしれません。
でも、根幹になる部分は共通認識されていると思うんです。それが、一部の人たちで解釈され、それが正当化されていくとしたら。。。
「9条」は過去の歴史から私たちの先輩が生み出した宝物。
この国で、なにかおかしな事が起きているように恐ろしい思いがします。
投稿: たか | 2008年6月26日 (木) 23:10
☆たかさんへ
お久しぶりです。お元気でしたか?
「解釈の拡大」
軸がぶれないで拡大するのならまだしも、軸を取っ払って拡大解釈しているような気がします。
「9条の軽視」
9条のみならず、憲法の軽視ですね。と言っている私も憲法のことを知らなさすぎでした。只今勉強中です。
「この国で、なにかおかしな事が起きているように恐ろしい思いがします」
私もそう思います。でも、そういうことって、気付いたときには遅かったりします。手遅れにならないうちに、自分に出来ることをしていこうと思います。
投稿: かつ | 2008年6月27日 (金) 00:38