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2007年2月 1日 (木)

2007年2月のことば

  Dscf0203
       経(きょう)は経(けい)なり
       経(きょう)は鏡(かがみ)なり

 
今月のことばは、善導大師(ぜんどうだいし)が、『観経疏(かんぎょうしょ)』という著作で示してくださったことばです。別々の箇所に出てくるのですが、ふたつ並べて、簡潔に表わさせていただきました。
善導大師(中国・613~681)は、親鸞聖人(日本・1173~1262)にとって大事な先生です。生きた時代も国も違い、実際にお会いしたことはありませんが、善導大師が遺されたことばを通して、親鸞聖人は善導大師に直接に出遇われたのです。
 

  
経(きょう)といふは経(けい)なり。
 
善導大師は、お釈迦さまの教え(経)を、人生における「経(けい)」であると教えてくださっています。
「経(けい)」とは「縦糸」のことです。経は、人生における縦糸である。さて、どういうことでしょう。
織物は、縦糸と横糸から成ります。先ず、縦糸がしっかり正しく張ってあって、そこに横糸を通していきます。織物の表面に表われるのは、横糸でデザインされた模様部分でしかありませんが、その奥に縦糸があるからこそ、織物は彩り鮮やかに出来上がるのです。
私の人生にも、お釈迦さまの教えという縦糸が、しっかり正しく張られているのです。教えという縦糸に支えられているからこそ、日々の生活という横糸を通すことができる。だからこそ、人生という織物を完成させることができるのです。
日々の生活、楽しいこと・幸せなことがあれば、苦しいこと・つらいこともあります。横糸の色が美しいときもあれば、汚れてしまうときもあるでしょう。でも、たとえ横糸がどのような状態であろうとも、縦糸は、しっかりと横糸を受け止めてくれます。
一生をかけて作り出す織物は人それぞれ違います。ひとつとして同じものはありません。さぁ、私の人生という織物。どのような模様が出来上がることでしょう。
 

 
経教(きょう)はこれを喩(たと)うるに、鏡のごとし。
 
もうひとつ、善導大師は、お釈迦さまの教え(経教)を鏡に喩えられています。
経は、私を映し出す鏡です。美しい面もあるのかもしれませんが、恐らく私のこころの醜い面・汚れた面・見たくない面ばかりを映し出してくれるのでしょう。
 
こんなことを言われたことがあります。
「お釈迦さんがいた頃と今とでは、あまりに環境が違いすぎる。教えが時代に追いついてないですね」
さて、そうでしょうか?
人間を取り巻く環境は、お釈迦さまが教えを説かれたころとは比べ物にならないほど変化したのかもしれません。経は時代遅れだと見下したり、知識として経を学んでいたのでは、教えから学ぶことはなにもないことでしょう。だからといって、教えが時代に追いついていないのではありません。
  
日常鏡を見るとき、自分の良い面しか見ません。あるいは、良く見えるように体裁を整えます。そのような見方で鏡(経)を見て、そこに映った自分の姿を見ても、私の本当の姿は見えません。
鏡は、私の姿を映し出すと共に、光を集めて私を照らし出してもくれます。「鏡」の喩えは、光に照らされている私であるということを表現されているのではないでしょうか。
経は、私の姿を照らし続けてきました。人々は、照らし出される自分の姿を見続けてきたのです。いつの世も、人を照らし出してきたのです。だから仏教は古びることがありません。しかし、いつの日からか、私の曇った目で経を見るようになってしまいました。経が古臭く、時代遅れで、役立たずに見えてしまうはずです。
私を映す鏡として経を見たとしても、所詮見ているのは私の目。教えが時代に追いついていないようにも思えてしまうはずです。しかし、私を照らし出す鏡として経をいただくことができたなら、今の私を、私自身が受け容れられることでしょう。鏡に映る私のこころは、汚れ濁ったものです。自分を知らされます。だけど、汚れた私を知らされるにもかかわらず、恥ずかしく感じるのではなく、生きる力となるのです。汚れ濁った私を、私のままに救いたいと願う阿弥陀如来の光を私に照射しているのですから。
 
お釈迦さまの教えは、遠いインドの国で遥か2500年前に説かれた、異国の昔話ではありません。
私が生まれる以前から私という人間を見抜き、常に私に先立って、今まさに私の歩く道を照らしているのですから。
 
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