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2005年9月 1日 (木)

2005年9月のことば

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   地獄への道は、善意で敷き詰められている

親鸞聖人は「悪人成仏」「悪人正機」を説かれました。
善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。  (『歎異抄』第3章)
「善人でさえも往生できるというのなら、悪人が往生できるのは言うまでもありません」

「悪人でさえも往生できるというのなら、善人が往生できるのは言うまでもありません」の間違いじゃないかって?同じ思いは親鸞聖人の頃の人々にもありました。
親鸞聖人は私たちに教えられます。自分を善人だと思っている人は、自分の力を頼りとしてしまいます。阿弥陀如来にすがる想いはありません。しかし、「自分は悪人だ」と自覚する人は、阿弥陀如来を頼りとし「南無阿弥陀仏」と念仏を称えます。念仏称える衆生を救おうと願いを、阿弥陀如来は立てられました。

『歎異抄』第3章 全文

善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。
しかるを、世のひとつねにいわく、悪人なお往生す、いかにいわんや善人をや。この条、一旦そのいわれあるににたれども、本願他力の意趣にそむけり。そのゆえは、自力作善のひとは、ひとえに他力をたのむこころかけたるあいだ、弥陀の本願にあらず。しかれども、自力のこころをひるがえして、他力をたのみたてまつれば、真実報土の往生をとぐるなり。煩悩具足のわれらは、いずれの行にても、生死をはなるることあるべからざるをあわれみたまいて、願をおこしたまう本意、悪人成仏のためなれば、他力をたのみたてまつる悪人、もっとも往生の正因なり。よって善人だにこそ往生すれ、まして悪人はと、おおせそうらいき。

「他力」とは、「阿弥陀如来」の救いのはたらきです。他人の力ではありません。
「悪人」とは、「煩悩具足のわれら」のことです。煩(わずら)い・迷い・悩みの中を生きている私たちのこと。悪事をはたらいた人ではありません。
人間は、煩い・迷い・悩みの中を生きる存在なのです。そこに目を向けてくださいというのが、親鸞聖人の教えです。

「善」とか「悪」というと、固定化した観念が付きまといます。固定化したものの見方・考え方・決め付けは、そこから先、なにも見えなくしてしまいます。で、自分は「悪」ではないというところから思考が始まります。ことばを他人事としてしか捉えることができないならば、メッセージからはなにも伝わりません。ことばの中に自分の身を置いて、考えてみましょう。

善人意識は、淋しいものです。
自分だけで出来る。誰も頼りとしない人は、誰からも頼りとされることもなくなるでしょう。
人のことを想い、願う。優しい気持ちの裏に、残酷な現実が。私の願いが叶うとき、その願いの犠牲になっている人がいることでしょう。
人のためにこれだけのことをやっている。 良かれと思ってしたことが、最悪な事態を引き起こすこともある。
善意は、時には人を傷つける。そのことに気付かない私。善意だけに、自分に疑いがない。善意が伝われば伝わるほど、回りの人間はなにも言えない。でも本人は満足。まさに、地獄への道は、善意で敷き詰められています。

「悪」の自覚・・・他を見る目が養われること。善人意識ですることと、やっていることは同じでも、傷つけ傷つけられるという関係が見えている。煩い・迷い・悩みの中を生きながらも、淋しさはありません。


【付記】
地獄への道は、善意で敷き詰められている
出典は、マルクスの『資本論』が有力ですが、
レーニン(ロシアの革命家)やサミュエル・ジョンソン(イギリスの詩人)のことばとも言われています。思想的背景があることばですね。
一目見て、ハッとしました。どのように受け止められましたか?

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コメント

私も、一目見て、ハッとしました。
善意だと思って、人にしていることは、実は自分の為にしていること。
自己満足、自己陶酔、自分のことしか信じられない、
周りに有無をも言わせない言動、自分の正当化、
どれもこれも、自分の傲慢さが引き起こしていることに
自分で気がつかないからこそ、やっかいなものなのかもしれません。
過去の私はまさにこんな感じでした。
そして、今の私にもそういう部分はまだまだ残っています。

小さくなりながら読ませていただきました。

☆りるさん こんばんは
 私も同じです。
 身を粉にして書きました。

仕事柄、何事も解釈しがちです。
「○○だから・・」と行動を結果に結びつけがちで、相手を追いつめる事がありがちな日々。
いけない、いけない・・

>固定化したものの見方・考え方・決め付けは、そこから
>先、なにも見えなくしてしまいます。

自分は、善人だ・・正しい・・という考えは、何と狭い世界で考えでしょう。
自分の身をたまに、振り返る怖さを感じましたが、正面から向き合わないといけないですね。
ありがとうございました。

☆猫吉さん はじめまして
福岡からようこそおいでくださいました^^

カウンセリングのお仕事をされているのですか?
つい自分の意見を押し付けてしまい、相手を追い詰めてしまう。
坊さんも一緒です。
人の話を聞くことを通して、
自分の身を問われているんですけどね。
とは思っていても、つい自分の狭い世界に戻ってしまう。
いけない いけない。

これからもよろしくお願いします。

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